がん治療の歴史と戦争で生まれた抗がん剤
歴史が苦手なのまねこです。今回は、がんの治療を知る上で欠かせない切除手術、X線治療や抗がん剤治療の歴史を紐解きます。(この記事は、90秒で読めます。)
切除手術
最初のがんの治療は、江戸時代に始まった麻酔なしの切除手術ですが、患者の負担が大きいことから、限られた部位の手術しか対応できなかったそうです。
1804年になり、全身麻酔で乳がんの切除手術が成功したの皮切りとして、麻酔の研究も進み、多くの部位を除去できるようになりました。
200年以上経った今では、内視鏡手術の技術も向上して、切らずに手術ができるようになりましたね。
放射線照射治療
放射線による治療は、1895年にX線が発見された時期と同じくして始まりました。
この治療は、X線が皮膚障害を招くことを応用したもので、その後に研究が進み、がんの治療法として確立されました。
でも、統計では放射線治療を受けた日本のがん患者は、全体の約30%でアメリの約70%に比べるとまだまだ低いと言えます。
この理由は、がん患者を担当する、医者(内科、呼吸器など)の知識不足と言われていますが、手術に比べると患者の負担が低いので、抗がん剤治療に肩を並べる治療法になってもらいたいと思います。
抗がん剤治療
きっかけはマスタードガスです。
1943年にアメリカの輸送船がドイツ軍に攻撃を受けた時にマスタードガスが漏れ、多くの死亡者が出たそうです。
毒性が強く戦争用に開発されたものですが、日本でも製造されていました。
このガスは、空気中にあるだけで、目に強い炎症が起こり、吸い込むとまず呼吸器系が侵され、骨髄幹細胞障害による白血球の減少、悪性リンパ腫の発症が認められ、皮膚に付くと重度の科学火傷といった症状が出たとされています。
1946年、この症状を治療するためにアメリカ陸軍は、悪性リンパ腫治療薬「HN-3塩酸塩」を開発しました。
この治療薬を末期患者に投与したところ、一時的に腫瘍は消滅したのですが、再発して亡くなったそうです。
その3年後、日本の2人の大学教授がマスタードガスによる悪性腫瘍の発症を研究・開発した抗がん剤(ナイトロジェンマスタードN-オキシド)のが使用が始まりました。
これが抗がん剤治療の始まりです。
戦争がきっかけとは、驚くべき事実ですね。
これを期に抗がん剤の研究は、一気に進んで、1960年代には主流の抗がん剤が出そろったと言われています。
切除手術、放射線治療、抗がん剤治療は、常に進化しています。
がん患者としては、特に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の開発に期待したいところです。