肺腺がん9年目の闘病記

肺がんの遺伝子変異と分子標的薬

分子標的薬

 分子標的薬で延命したのまネコです。今回は、肺がんの遺伝子変異、分子標的薬と抗がん剤の違い、遺伝子変異の種類に応じた分子標的薬の商品名などについて書きたいと思います。(この記事は、2分で読めます。)
遺伝子変異
 遺伝子変異とは、簡単に言うとDNA内にある染色体の書き換えの事です。
 どの細胞のDNAでも常に書き換え、融合、欠損などのエラーが発生していますが、分裂する前に修復されています。

 しかし、免疫力が低下すると修復力が弱くなり、変異した細胞(がん細胞)が分裂を繰り返して増えてしまうのです。

分子標的薬と抗がん剤の違い
 分子標的治療薬は、変異したがん細胞をターゲットとして作用し、がんの増殖を抑える薬です。

正常な細胞

 古くから使われている抗がん剤は、ターゲットを持たない薬なので、正常な細胞にも影響を及ぼしてしまいます。

 つまり、正常な細胞も死滅するので、抗がん剤の方が副作用が強く、細胞の修復に時間がかかることになります。

遺伝変異の種類と分子標的薬
 肺がんの遺伝子変異は主に
 EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF遺伝子変異、NTRK融合遺伝子、MET遺伝子変異
6種類です。

 それぞれの遺伝子変異に対応する分子標的薬の商品名は

 EGFR遺伝子変異 
 イレッサ、タルセバ 、ジオトリフ、ビジンブロ、タグリッソ

 ALK融合遺伝子   
 ザーコリ、アレセンサ、ジカディア、ローブレナ、ALUNBRIG

 ROS1融合遺伝子 
 ザーコリ、ロズリートレク

遺伝子変異

 BRAF遺伝子変異
 タフィンラー、メキニスト

 NTRK融合遺伝子
 ロズリートレク、ヴァイトラックビ

 MET遺伝子変異
 タブレクタ、テプミトコ

となります。
 稀に2、3の遺伝子変異がある肺がんがあります。

扁平上皮がんの遺伝子変異は極めて稀
 喫煙が主な原因の肺扁平上皮がんの場合、どの遺伝子変異を調べても該当しないことがほとんどです。

 そうした場合、病理検査でPD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4といった抗体があるかを調べます。

 これらの抗体は、T細胞に見つからないよう「普通の細胞です。」といったシグナルを出して、がんが増殖させます。

 こうしたシグナルを解除するのが、免疫チェックポイント阻害薬で、これまで6種類の免疫チェックポイント阻害薬が発売されています。

薬は効かなくなる
 僕のがんは、EGFR遺伝子変異
 2013年 E746-A750gel type1 exon19
 2015年 T790M exon20
が確認されています。

 これまで、2013年6月からイレッサ(8カ月)、タルセバ (2カ月)、ジオトリフ(3カ月)、抗がん剤(7種)、タグリッソ(2016年6月から効かなくなった2021年7月まで5年間1ヵ月)を使いました。

お願いします。

 どの分子標的薬もいずれは、がんの変異による耐性が出来で効かなくなります。

 タグリッソの耐性変異は、「C797S変異」と言いますが、2016年5月25日の発売から「C797S変異」に対応する分子標的薬は開発されていません。

 アストラゼネカさん、コロナ薬の開発も大切ですが、分子標的薬の開発もお願いします(/_;)